映画「心が叫びたがってるんだ。」感想…青春はメンヘラだ
なるべくネタバレなしでいきたい映画のざっくり感想。
今回はこちら。
興収10億円突破の『あの花』スタッフが贈る感動作『心が叫びたがってるんだ。』予告編 - YouTube
アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の製作陣が手掛けた「心が叫びたがってるんだ。」(ここさけ)です。
「あの花」は未見ですが、物語の舞台は2作品とも埼玉県秩父市だそう。予習しておいたほうがより楽しめそうな匂いがしますね。
そんな「ここさけ」は、ざっくり言うと、「言葉で人を傷つけてしまった」*1トラウマで、会話ができなくなった少女の話。
テーマが明確なうえにゆったりと進むので、「今日はちょっと疲れちゃったな…。だらっと映画でも観たいな」ってときに向いてます。ボーッとしていてもちゃんと理解できる、はず。
都市開発(失敗気味の)埼玉の片田舎、スクールカースト、母子家庭の鍵っ子、DTM研究会などの設定はイマドキっぽさもあって、リアリティを感じやすいですね。
細部まで作り込まれた作画や仕草などの演出も手伝って、わりとスムーズにストーリーに入っていけます。
本筋ではないのですが、主要キャラの一人・野球部エースの田崎くん周りの話がなかなかよいのです。しかも、結構みっちりやります。
もうここだけで「青春群像劇」という謳い文句に偽りなし。青少年の葛藤を描くときに、野球部ほど万人に受け入れやすいものってないかもしれません。
しかし、残念ながら作品全体としては、起承転結の「転」以降が本当にひどかった…。
「ものすごく丁寧に舞台背景や人物描写をしていたら、尺が全然足りなくなっちゃった!」って感じの尻すぼみ感がすさまじいです。
「てへぺろっ」てな感じで、この映画監督*2の顔がよぎりました。
キャラクターたちがいきなり結末に向け、露骨に舞台装置として動き出す様に、思わず顔が引きつるレベル。「みんなエスパーかよ!」ってツッコミたい衝動に駆られます。
しかも、いきつく先がとんでもなく凡庸なエンディング。力技で持って行くなら、もっとしっかりした展開を用意しておいてほしいものです。
オチも観客の期待を裏切ってからの(という展開が逆に手垢にまみれている)、なんとなーくハッピーエンドを演出して終了というのが癇に障る…。
個人的に、これは「青春群像劇」じゃなくて「文化祭マジック」ですね。本編よりも田崎くんエピソードのほうが、ちゃんと「青春群像劇」してます。
なかなかのレベルで“個人的クソ映画”でしたが、公式サイトによると、映画通満足度97.4%*3、女性満足度96%*4らしいです。
Twitterやレビューアプリでも、私の知人含めて「よかった」という声を目にするので、ハマる人のほうが多いかもしれません。思春期にこういう経験をしているかの差なのでしょうかねぇ。
こき下ろす感じになってしまいましたが、後半の主人公と主要キャラ・坂上くんのの厨二っぽさは、気持ち悪さがしっかり青春というか思春期らしくてよかったです。
「旧エヴァ」オマージュ全開なので、腐れシンジくんに感化された元・厨二の方は、ちょっと気恥ずかしい黒歴史を思い出せるかと。時代は移ろえど、青春はメンヘラです。
劇中の音楽はとても素晴らしかったです!
エンドロール見る限り、ほとんどの楽曲をクラムボンのミトさんが担当されていました。サントラがもう発売されているので、こちらはチェックしてみたいと思います。
息抜きのつもりで書き始めたのに、だいぶ時間を割いてしまいました。
めっちゃ忙しいはずなのにブログ更新してる人はどういう仕組みで動いているんですか?
— 中道薫 (@nakamichikaworu) September 26, 2015
それでは、またの日まで。